【空調タイムス掲載記事抜粋】
竹本設備は工場のダクト生産能力を高める。
近年は経営者と従業員が意思疎通できる環境整備にも乗り出しており、社員の技術力、発想力、提案力を強化する活動を推進中。
多様な設備と豊富な“人財”を持つことで、100年続く優良企業を目指す。
ダクト素材は近年、主流の亜鉛鋼板だけでなく、ステンレスやガルバリウムなどの使用も見られ、多様化している。
亜鉛鋼板も表面処理方法が従来方式のレギュラースパングルから、鉛フリーのゼロスパングルへと様変わりしつつある。
竹本社長は「多種多様な素材を扱えるのが当社の強み。この部分を強調するためにも、さまざまな素材のダクトを常時製作できる体制の整備が必要」と説明している。
同社は一般的なハコ物空調ダクトより、リニューアル絡みの特殊ダクトや、クリーンルームをはじめとする研究・開発工場向けの空調ダクトの製作・取り付け工事に特化し、実績を拡大している。
前期決算(08年7月~09年6月)で増収増益を達成したほか、不況下にある今期(09年7月~10年6月)決算も前年並みの着地を見込む。
こうした堅調ぶりを支えているのは、竹本社長以下幹部社員ら営業努力はもちろんだが、現場の技術社員、事務社員、契約社員、さらには海外からの実習生など、人材の活躍によるところが大きい。
同社では人材を社内で貴重な“人財”へと深化させる取り組みを強化しており、全従業員を対象に3年前から改善提案活動を実践している。
従業員が日ごろの勤務の中で感じる不便なことや非効率なこと、危険なことなどについて、具体的な改善事例を報告させるもの。
最も優秀な提案内容を社内で表彰し、提案者に賞金を渡している。
「改善提案の目的は現場の社員らに考える力を培わせること、そして良い事例や成功した事例を全従業員が共有し、各自の技術や知識として生かすこと。現場の最先端で働く人間がその意識を持たなくては駄目」。
竹本社長は従業員の成長に期待を込め、改善提案を社内活性化のカンフル剤としていく考えだ。
さらに同社では毎年6月から7月にかけて、全従業員46人と竹本社長が個人面談を実施。
社長自らが現時点での個人評価を直接本人に伝え、個人の意見や考えを吸収している。
一人ひとりとひざを付き合わせて各自に目標を与え、実践させることで上積み評価を明示。
これが従業員のステップアップへのモチベーションとなっている。
当然、竹本社長も目標を従業員に示しており「昨年40周年を迎えることができたので、今度はしっかり後継者を育成し、私の代だけでなく、100年続く優良企業の礎(いしずえ)を築く」と宣言。
自身にプレッシャーをかけ、目的意識を従業員と共有している。